あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

「その時でしょ。優海のこと好きになったの」
「……」

無言で小さく頷く。
……そんな前から、気付いてたんだ。

前から、というかもう出会った瞬間だ。

唯斗の言う通り、多分もうその時には好きになっていたんだと思う。

それから優海がうちの学校に転入してきて、よく遊ぶようになって。


気が付いたら、3人でいるのが当たり前になって、かけがえのない存在になってた。

一緒にいればいるほど、内面を知るほど、優海のことが大好きになっていって。

「ずっと知ってたよ。乃亜が優海のこと見てるの」

「……ごめん」

私の意味をなさない謝罪に、唯斗が「そっか」と笑う。

どうしようもない沈黙が流れるけど、もはやお互い言葉を発しようという気すら見えない。

「……」

……もう、なんていうかボロボロだ。
私も、唯斗も。

昨日まで軽口を叩いたりはできていたけど、やっぱり限界があるみたいだ。
優海の存在が私達にとって大きすぎて、いざ失った時前までどうやって会話をしていたのかすらも分からない。

どうすれば、いいのかな。
優海無しで、私達はどうすればいいのかな。

……ダメだ。これじゃまるで依存だ。


高校生にもなって、私は何を考えているんだろう。
こんなんじゃ一生優海に心配かけちゃうじゃん。

「唯斗」

話題を変えようと、絞り出すように何とか声を出して、唯斗を見つめる。
だけど。

「……どう、しよう」

結局口から零れたのは、私の意志とは全く違うこと。

「……なんで、なんで優海だったのかな」

ほぼ押し付けるように発した言葉は、誰も答えをくれなくて。
当たり前だけど、その事実が凄く苦しい。


でも、何度考えても分からない。

優海は、誰かに殺される程の事をしたのだろうか。

……そんなわけない。いつだって自分より誰かを優先して、困っている人がいれば迷わず手を差し伸べるような人だった優海が、どうして名前も知らない相手に殺されなければいけなかったんだろう。