あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

「……え、?」

まさかの言葉に思わず声を漏らす。

嘘……絶対バレてないと思ったのに。


とにかく、上手く取り繕わないとと思って口を開きかけるけど、私の反応が既に唯斗に答えを教えていたようで。

やっぱり、と浮かべる切なげな微笑。

鈍色の夜空みたいな、どこか曇りのある瞳に見つめられて口を噤む。

「……いつから、いつから気付いてたの?」

当たり障りない言葉を探して、でも結局口から零れたのはそんな疑問。

「んー、結構前から?」


……結構前とは。

まあ、でも、うん。そうだよね。

私だって流石に唯斗が毎秒何考えてるかなんて分かんないけど、ずっと思ってる事は何となく分かる事もある。
そりゃ、分かっててもおかしくないよね。うん。

……って、頭では分かってるんだけど、分かってるんだけど。


結構、堪えるなぁ……。

こうやって面と向かって言われると、思っていたよりずっと苦しい。

優海がいない今になって、好きだったことを突き付けられているみたいで。
優海への好きの矛先をどこに向ければいいのか分からないまま、ただ、優海がいないという事実だけが心に深く突き刺さる。


「……乃亜。優海と初めて会った時のこと覚えてる?」

不意に、唯斗がぼそりと呟いた。

「うん。覚えてるよ」

忘れる訳が無い。
私はほぼ一目惚れのようなものだったんだから。


脳裏に、赤い紅葉が踊るようにひらひら舞う中、その木元に立つ1人の男の子の姿が蘇る。

色素の薄い焦茶色の髪が、風に靡かれて綺麗に揺れていた。
なんて儚いんだろうと小学生ながらに思った。

それが、優海だった。


「いつもの公園でたまたま優海がいて、乃亜が急に話しかけに行ってさ」
「うん」
「名前何?って。優海びびってたよ」
「仕方ないじゃん気づいたら話しかけてたんだから」

優海は驚きながらも、笑って名乗ってくれた。