あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

「……ん」


瞼の裏に、朝の光がじんわり染みてくる。

カーテンの隙間から差し込む昇りたての日差しに、まだ重い瞼を開いた。


……もう朝、か。

昨日泣いたからか目の奥が重い気がする。
目の中に1キロくらいのダンベルでも入ってんじゃないの、これ……。


…………。

……まぁ、それは一旦置いておいて……。

隣を見ると、当たり前のようにこちらを見ている唯斗の姿が。

なんで起きてるんですか……。


「おはよ」
「……」


一周回って爽やか過ぎる笑顔を前にして思う。

……うん。あのー、いや言っちゃ当たり前なんだけどさ。

昨日勝手に寝ちゃったの私だし、唯斗の部屋だから仕方ないといえば仕方ないんだけど。


年頃の付き合ってもない男女が一緒に寝るのは抵抗があると言いますか……。

この家絶対ほかの部屋にもベッドあっただろと思ってしまう私がいる……。

私を1人にさせたらという彼なりの親切心だと思うけど、やっぱりちょっと唯斗ということもあって、軽くじとっと睨む。


「何、変なことしてないよ」

「……」


そういうとこだよ、なんでドンピシャで当ててくるかねこっちが考えてること……。

若干引き気味になりながらも、唯斗の自然さに少し救われた気がした。

……一応。


「……昨日はありがと」

正直、昨日は本当に助かった。
唯斗がいてくれなかったら、私はずっと一人でベッドの中にいたかもしれない。

唯斗がいてくれたお陰で、少し気持ちが楽になった気がする。
いつもと何の変哲もない会話をしている間は、優海がいた時に戻ったような気分だ。


そんないつもと変わらぬ唯斗だからか、何となく目を合わせて言うのはむず痒くて、床に視線を投げる。


「……ね、乃亜」


さっきまでとは違って少し落ち着いた口調。

同時に、くい、と頬に手を添えられて無理矢理唯斗の方に顔を向かせられる。

まるで逃げ道を無くすかのような綺麗な顔に見つめられて、少し居心地が悪い。

いつもみたいな揶揄いで、「何照れてんの」と言ってきそう。そう思っていた。

でも、唯斗が発した言葉は全くの予想外で。




「乃亜さ、優海のこと好きでしょ」