あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

少し考えるような素振りをしてから口を開く唯斗。


「特になんもないよ?」


……うん。えーっと、どうしよう。

まさかこんな答えが返ってくるとは思わなくて拍子抜けしてしまう。


この人さては話す気無かったよね???????
話す気ないなら無理に話さなくていい、のか?


………………

……………………え?????


じゃあ私は??なんで呼ばれたんだ???


いやほんとはなんか話したいとかって……。

「嘘でしょ」
「え?ないけど」


うん。はい。

私はどうすればいいんだろう。


唯斗の気持ちが少しでも軽くなればなーなんて考えてたけど、話す気ないならもうどうすることも出来ないじゃん。

無理に話せとも言えないし……。


とりあえず傍にいて、唯斗が不安にならないようにする?
そんなことしか出来ない?


「何。どーせ俺が優海のことで抱え込んで、それをどーにかしないととか思ってるんでしょ」

「……」


バレてる……。


「……まぁ、うん。そりゃ悲しいよ。でもさ、もうどうにもできないじゃん」

自暴自棄のように放った唯斗の言葉。


一見、それはとても冷たい言葉のように感じるけど、彼の生い立ちを考えると何も言えなくなってしまう。

私なんかが口出ししたらいけないような気がして口を噤む。


そんな私を見たからか、唯斗が静かに口を開いた。


「乃亜。俺のために我慢しててくれたんでしょ」


ただ優しく、私に言う。


「乃亜こそ無理してんじゃん」


……あーもう。ダメだ。

唯斗の不安をどうにかしないととか思って来たのに、こんなんじゃひとつも役に立ってない。
……何で、私はこんなに無力なんだろう。

これじゃ、私は唯斗の手のひらの上で転がされてるだけじゃん……。


「ねぇ、俺にくらい甘えてよ」


そんな、唯斗の声と一緒に、さっきの公園のときより強く抱きしめられる。

唯斗の心臓の音が伝わってきて、やけに安心してしまって。


──そんな自分に心底嫌気が差す。