あの日、君を救えなかった私は〜幼馴染を失った私達の、壊れてしまった恋〜

「来て」

ベッドに座った唯斗は、私に「座れ」とでも言うように右手で、ぽんぽん、とシーツを叩く。

首を傾けてこちらを見上げるその姿は、どこかのモデルのような色気、そして儚さが漂っている。


──うわ。

忘れてたけど、この人無駄に顔がいいんだ。
傷むことなんて知らないような、艶のあるサラサラの黒髪。

カーテンの隙間から差し込む西日に照らされながら、見つめてくる瞳は蜂蜜のように甘くて、麻薬のような危険さを感じる。

切なげに弧を描く唇は左右対称で、皺なんてひとつもない。

学校では死ぬほどモテているのも納得の容姿。
一般人にいるのはもったいないんじゃないのかと思うほど。


昔はよく『芸能事務所入ったら?』とか言われてたっけ。
それが、唯斗にとっては一番辛い言葉だったのかもしれないなんて、その時は誰も想像すらしてなかったんじゃないかな。


「なーに。見とれてんの?」

いたずらっぽく目を細める唯斗。
その姿すらも写真集の1ページの様。

「……別に」

これで乗ったら面倒臭いことになるから、適当に返す。

「えー素直じゃないなー。まーいいや、座ってよ」

「……」

腰掛けたはいいものの、一つのベッドの上では意外と近くて、妙に意識が唯斗の方に行ってしまう。



何となく唯斗の方をちらりと見ると、至近距離に唯斗の顔。

数秒、停止。


「………………っ、?!」


やっと状況を理解して声にならない声をあげる。
綺麗な顔に見つめられて、思わず身を引く。


び、っっくりした。


私の反応に、堪えきれないとでも言うように笑い出す唯斗。

無理してるように感じさせない、いつもの唯斗で気が抜けてしまう。



……普通に元気そうじゃん。帰っていいかな??


「何」
「んー?乃亜が可愛すぎて」