君に会いたいと願っても。

お参りをする人。



楽しそうに笑う家族。



手を繋いで歩く恋人たち。



その中を、私たちもゆっくり歩いていく。



屋台からは、温かいたこ焼きの匂いが漂っていた。



「食べる?」



廉が指をさした。



「食べたい。」



「やっぱり?」



「何その言い方。」



「絶対好きだと思った。」



「なんで分かるの。」



「なんとなく。」



買ったたこ焼きを二人で食べる。



寒さで少し冷えた手に、温かい食べ物が嬉しかった。



その後、りんご飴を見つけて足を止める。



「懐かしい。」



「食べる?」



「子どもじゃないんだから。」



「でも見てるじゃん。」



「……。」



結局、二人で一つ買った。



甘い匂いと、少し冷たいりんごの味。



そんな小さなことが、なぜか特別だった。



帰り道。



自動販売機で廉が温かい飲み物を買う。



「はい。」



渡された缶を両手で包む。



冷えていた指先に、じんわりと温かさが広がった。



「ありがとう。」



「どういたしまして。」



廉はいつものように笑った。



何気ない会話。



何気ない時間。



だけど、私はこの日のことを忘れない気がした。



この時の私はまだ知らなかった。



何でもないと思っていた時間ほど、あとから一番大切な思い出になることを。