君に会いたいと願っても。

「幸?」



玄関を開けた廉は、驚いた顔をした。



「どうしたの?」



「……やっぱり来た。」



そう言うと、廉は少し笑った。



「おかえり。」



その一言が、なぜかすごく嬉しかった。



廉の家は静かだった。



両親は仕事で家にいないらしい。



二人きりの部屋。



いつも学校で話しているのに、場所が変わるだけで少し緊張する。



「幸。」



「ん?」



廉が真剣な顔で私を見る。



「俺さ。」



少し震える声。



「幸のことが好き。」



時間が止まったような気がした。



驚いた。



でも、不思議と嫌な驚きではなかった。



むしろ、どこかで分かっていた気がした。



廉といると安心すること。



何気ない会話が楽しいこと。



誰よりも近くにいてほしいと思うこと。



全部、ただの友達だからだと思っていた。



でも、本当は違った。



「私も……。」



声が少し震える。



「廉といる時間、好きだった。」



廉が目を丸くする。



「それって……」



私は小さく笑った。



「うん。」



「付き合ってもいいよ。」



その瞬間、廉は嬉しそうに笑った。



「本当に?」



「本当。」



今まで友達だった距離が、少しだけ変わった。



この日、私たちは恋人同士になった。



私にとっては初めての彼氏だ。



目が合う。



少し照れながら笑う。



そして、そっと抱きしめられる。



その夜は、たくさん話をした。



今まで知らなかったお互いのこと。



これからのこと。



くだらないことで笑ったり、何度も名前を呼んだりした。



不思議と心は温かかった。



冬の寒さなんて忘れるくらいに。



高校三年生の冬。



あの日の幸せが、永遠に続くと思っていた。



この日から、廉はただのクラスメイトじゃなくなった。



春を待つ時間の中で、



私は初めて、大切な人を見つけた。