君に会いたいと願っても。

戻ってきた手には、温かいココアが二つ。



「はい。」



「ありがとう。」



缶を両手で包むと、冷えていた指先が少しずつ温まっていく。



「廉ってさ。」



「ん?」



「意外と優しいよね。」



そう言うと、廉は照れくさそうに笑った。



「今さら?」



「今さら。」



二人で笑った。



くだらない会話。



何気ない時間。



でも、その瞬間がすごく大切に感じた。


⸻


そして帰り道。



駅へ向かう途中、廉がふと口を開いた。



「ねえ。」



「ん?」



「お正月ってさ。」



少し間を置いて、



「初詣、誰かと行く予定ある?」



突然の質問に、私は廉を見る。



「なんで?」



「いや、なんとなく。」



いつもの廉みたいな笑顔。



でも、少しだけ緊張しているようにも見えた。



「誰とも行く予定ないよ。」



そう答えると、廉は少し笑った。