春は、別れの季節。
でも同時に、新しい始まりの季節でもある。
卒業式が終わってから、数日が経った。
制服を着ることもなくなり、朝早く起きて学校へ向かうこともなくなった。
いつもの通学路を歩くこともない。
高校生だった頃の「当たり前」が、少しずつなくなっていった。
でも、私と廉の関係は変わらなかった。
卒業してからも、毎日のようにLINEをしていた。
『今日何してる?』
『何もしてないよ。』
『じゃあ暇じゃん。』
『廉もでしょ。』
『じゃあ遊ぼ。』
そんなやり取りをするだけで、私は少し嬉しくなった。
廉は、進学する専門学校が決まっていた。
新しい生活が始まるまでの春休み。
私たちは、これから始まるそれぞれの生活について話すことが増えていた。
「廉、専門学校いつから?」
「四月から。」
「そっか。」
「幸は?」
「私はまだ。」
私はスマホを握りながら答えた。
卒業した私は、就職先を探していた。
高校を卒業したら働く。
そう決めていた。
でも、思っていたより簡単ではなかった。
履歴書を書いて。
面接の準備をして。
何度も練習して。
そして、何度も面接に行った。
「……また落ちた。」
結果を見た瞬間、胸が重くなった。
一社。
また一社。
何社受けても、なかなか決まらない。
自分には何が足りないんだろう。
本当に就職できるのかな。
そんな不安が少しずつ大きくなっていった。
そんなある日。
廉からLINEが届いた。
『今度遊ばない?』
私は画面を見つめた。
遊びたい。
もちろん遊びたい。
でも、今はそんな余裕がなかった。
『遊びたい。』
そう送ってから、少し考える。
『でも、まだ就職決まってないんだ。』
すぐに廉から返事が来た。
『そっか。じゃあ決まったら遊ぼう。』
その優しさが、少し嬉しかった。
そして、最後の面接の日。
朝からずっと緊張していた。
何度も鏡を見て、服装を確認する。
深呼吸をして、家を出る。
これが最後。
ここがダメだったら、また探さないといけない。
そんな気持ちで面接会場へ向かった。
面接を終えて、家に帰る。
結果が出るまでの数日間が、ものすごく長く感じた。
そして――
結果が届いた。
私はスマホの画面を何度も見た。
「……受かった。」
思わず声が漏れた。
何度も確認する。
見間違いじゃない。
私は、最後に受けた会社から内定をもらった。
「……やった。」
嬉しくて、自然と笑顔になる。
すぐに廉へLINEを送った。
『受かった!!』
既読がつく。
『ほんと!?』
『ほんと!!』
『おめでとう!!』
『ありがとう!!』
その文字を見ただけで、また嬉しくなった。
しばらくすると、廉から電話がかかってきた。
「もしもし?」
『幸、本当におめでとう。』
「ありがとう。」
『これで遊べるじゃん。』
「うん。」
『いつ空いてる?』
「えっと……。」
カレンダーを見る。
「私は○日なら空いてる。」
『俺も空いてる。じゃあその日!』
「うん!」
久しぶりに会える。
そう思うだけで、胸が弾んだ。
