君に会いたいと願っても。

その日の帰り道。



二人の手は、いつもより少しだけ強く繋がれていた。



バレンタインが終わっても、私たちの日常は続いていった。



放課後にコンビニへ寄って、肉まんを半分こしたり。



くだらないことで笑ったり。



休み時間に小さなメモを渡したり。



帰り道に遠回りして、いつもより長く一緒にいたり。



「今日どこ寄る?」



「どこでもいいよ。」



「じゃあ、適当に歩こう。」



そんな毎日。



何をしていても楽しかった。



二月が終わり、三月が近づいてくる。



校庭の木々には、小さな蕾が見え始めていた。



「もうすぐ春だね。」



ある日の放課後、廉が言った。



「うん。」



「なんか早かったな。」



「ほんとに。」



私たちは並んで窓の外を眺めた。



もうすぐ卒業。



そう思うと少し寂しい。



でも、それ以上に。



今この瞬間が幸せだった。



「卒業するまで、いっぱい遊ぼうね。」



「うん。」



「まだやってないこと、いっぱいあるし。」



「海も行ってない。」



「そうだった。」



「プリクラも、また撮ろう。」



「何枚撮るの?」



「いっぱい。」



二人で笑った。



春は、もうすぐそこまで来ていた。



冬の寒さが少しずつ消えていく。



私たちは笑いながら、残り少ない高校生活を過ごしていた。



毎日が楽しくて。



毎日が幸せで。



この時間が、ずっと続けばいいと思っていた。