君に会いたいと願っても。

「じゃあ、何からやる?」



廉が楽しそうに聞いてくる。



「え?」



「卒業するまでにやりたいこと。」



「ああ……。」



私は少し考える。



「いっぱいありすぎて、逆に思いつかない。」



「じゃあ、俺が考える。」



廉はそう言って、スマホを取り出した。



「まず、制服でどこか遊びに行く。」



「もう今日も制服じゃん。」



「学校じゃなくて。」



「ああ、なるほど。」



「あと、プリクラ撮る。」



「廉、プリクラ撮りたいの?」



「撮ったことない。」



「え、意外。」



「だから撮ってみたい。」



私は思わず笑った。



「じゃあ、決まり。」



廉がスマホに文字を打ち込む。



「次。」



「まだあるの?」



「あるよ。」



「何?」



「放課後に寄り道する。」



「いつもしてるじゃん。」



「いつもとは違うところ。」



「例えば?」



「……肉まん買う。」



「それだけ?」



「ううん、あと海に行く…。」



「いいね…。行こーぜ。」



「うん笑」



二人で笑った。



くだらない。



本当にくだらないことばかり。



でも、そんなことが今は楽しかった。



「あと……。」



廉が少し考える。



「卒業前に、写真いっぱい撮りたい。」



その言葉に、私は少し黙った。



「……うん。」



写真。



今まで何気なく撮っていたもの。



でも、卒業したら、この制服姿も、この教室も、今みたいな毎日もなくなる。



そう思うと、急に大切なものに思えてきた。



「じゃあ、いっぱい撮ろう。」



「約束。」



「約束。」



スマホの画面には、二人で決めた小さな予定が少しずつ増えていった。



制服で遊びに行く。



プリクラを撮る。



放課後に寄り道する。



一緒に肉まんを食べる。



一緒に海に行く。



写真をたくさん撮る。



どれも特別なことではない。



誰にでもできるようなことばかり。



それでも、私にとっては全部特別だった。



廉と一緒だから。



「幸。」



「ん?」



「最後にもう一個。」



「何?」



廉が少しだけ笑う。



「卒業しても、ずっと一緒にいる。」



私はその言葉を聞いて、少しだけ胸が苦しくなった。



「……うん。」



「絶対ね。」



「絶対。」



そう答えながら、私は笑った。



このときは、本当にそう思っていた。



ずっと一緒にいられると。



春になっても。



その先も。



ずーっと――。