君に会いたいと願っても。

ある日の放課後。



教室に残っていた私と廉は、窓の外を眺めていた。



「幸は、卒業したらどうするの?」



突然、廉が聞いた。



「……まだ決めてない。」



私は少し考えてから答えた。



「でも、たぶん就職かな。」



「そっか。」



「うん。」



本当は、やりたいことがあるわけじゃなかった。



進学したいと思っても、生活のことを考えると簡単には決められない。



この先、自分で生活していくこと。



お金のこと。



家のこと。



いろんなことを考えれば考えるほど、進学という選択肢は遠く感じていた。



「廉は?」



「俺もまだ決めてない。」



「大学とか?」



「それも考えたけど……。」



廉は少し考える。



「専門学校もいいかなって思ってる。」



「何かやりたいことあるの?」



「まだはっきりしてない。」



そう言って、廉は笑った。



「でも、大学に行くより、何かちゃんと学べるところに行った方がいいかなって。」



「そっか。」



「幸は?」



「私は……働かなきゃいけないと思う。」



その言葉を口にした瞬間、少しだけ胸が苦しくなった。



やりたいことよりも、まず生活。



夢を探す前に、自分で生きていくことを考えなければならない。



「そっか。」



廉はそれ以上、何も聞いて来なかった。



ただ、隣に座っていた。



「でもさ。」



しばらくして、廉が口を開く。



「進路が違っても、会えるよ。」



「……うん。」



「卒業したからって、急に他人になるわけじゃないし。」



私は廉を見る。



「約束ね。」



「うん。約束。」



窓の外には、まだ冬の景色が広がっていた。



春は、もうすぐそこまで来ている。