君に会いたいと願っても。


「……なんで。」



私の声は震えていた。



冷たい雨が頬を伝う涙を隠すように降り続いている。



「なんで……私だけ。」



大切な人を失った。



大好きだった人は、何も言わず私の前から姿を消した。



帰る場所だった家は、もう”家”とは呼べなくなっていた。



「もう……疲れたよ。」



空を見上げても、返事をくれる人はいない。



神様なんて、本当にいるのだろうか。



もし、いるのなら。



どうして私にこんなにも試練を与えるの?



どうして、私から大切なものばかり奪っていくの?



何度そう問いかけても、雨音だけが静かに響いていた。



それでも、この時の私はまだ知らなかった。



この先、私の人生を大きく変える一人の人と出会うことを。



そして、本当の幸せの意味を知ることを──。