空賊退治専門屋

​ 付き合い始めてからというもの、
 フオコは俺のことを
「ピウちゃん」
 と可愛らしい愛称で呼ぶようになった。

​ 何度も優しくキスを交わし、
 フオコのお気に入りの場所へ何度もデートに出かけた。

 中でも二人でよく行ったのが、
 水着を着て一緒に入る混浴の温泉だった。

​ 異世界に来てからの不安が嘘のように満たされ、
 俺は時折、
「こんなに幸せでいいのだろうか」
 と怖くなることすらあった。

​――だが、そんな平和な日々は長くは続かなかった。

​「……我のことを、
本当に忘れてしまったというのか?」

​ 唐突に俺たちの前に姿を現したのは、
 あの空賊の頭領、タンパニーだった。

​「言ったはずだろ! 俺にはもう、大切に付き合っている人がいるんだ!」

​ 俺が突っぱねるように言い放つと、
 タンパニーは顔を歪め、
 悔しさに満ちた声を搾り出した。

​「ならば……力ずくで奪い返すまでだ!!」

 ​一触即発の空気が漂う中、
 フオコがスッと俺の前に立ち、
 タンパニーを毅然とした眼差しで見据える。

​「往生際が悪いよ、タンパニー」