未来と過去とイフがわかるお嬢様の学園生活

 ゆずきちゃんと猫カフェに行くことになった。
 もちろん、学校からそれほど遠くない場所にある店だ。

 猫カフェのメニューにカツ丼もショートケーキも、
 お蕎麦もなかったけれど、
 猫を眺めたり写真をたくさん撮ったりできれば、
 それだけで十分満足だった。

 もっとも、この猫カフェはフラッシュ撮影もシャッター音も禁止だったけれど。
……と言っても、どこの猫カフェもそうなのだろう。

 ゆずきちゃんは「かわいい」と言いながら手を伸ばすものの、
 猫に逃げられてしまい、
 ショックで肩を落としていた。

「猫、触らせてくれない……あたしのこと、嫌いなのかしら?」
「未来でも『イフ』でも見る限り、
私でも触ることはできなさそうね」
「どうして?」
「どうしてかしらね」

 未来やイフを見ることができても、
 猫の心まで読めるわけではない。
 だから、どうして猫が簡単に触らせてくれないのかまでは説明できなかった。
 どうやらどの猫も、
 お客さんに追いかけられたり触られたりするのが嫌いなようだった。

 過去を見ても、この猫たちが人間に対して何かトラウマを抱えている様子は見られない。
 おそらく本能的に避けているだけなのだろうけれど……それでも、やっぱり猫は可愛かった。

「猫に触りたいわよ」
「それなら、店員さんに聞いてみる?」

 私たちは、
 近くにいた若いアルバイト風の女性店員さんに声をかけることにした。

「すいません。
私たち、猫に触りたいのですが、どうすればいいですか?」

「いきなり触るのは難しいと思います。
猫は警戒心が強いので、
時間をかけて徐々に信頼関係を築いていくのが良いかと……」

「えー、今すぐ触りたいわ。
こんなに可愛いんだもの」

 ゆずきちゃんは納得がいかない様子で食い下がり、
 店員さんは困惑した表情を浮かべていた。

「可愛いのは本当にそうなのですが、
猫は可愛いだけではありませんからね……。
それなら、おやつをあげてみるのはどうでしょうか? こちらで一袋100円で販売しています。
これをあげてみたら寄ってくるかもしれません。
……最終的にどうするかは、猫ちゃん次第ですけれど」