「珊華ってばつまんないなぁ、あたしたち一応アイドルなんだよ?一攫千金の夢見なくてどうすんの」
「あら、ごめんなさい。私は椎菜さんのような楽観的な頭をしていないもので」
「は?ケンカ売ってる?」
「ふ、二人共やめてよ……!まだお客さんいるんだよ?」
私を挟んでバチバチと火花を散らすメンバーたち。
一触即発の空気に終止符を打ったのは、他でもない――あの唯一の観客である女の人だった。
コツコツとヒールの音を響かせながら、彼女は私たちの前に立ち何かを差し出す。
それは黒い封筒で、深紅のロウに薔薇のシースタンプが押されて封をされていた。
「えっと……あの、これは……?」
戸惑う私たち。
それを見た女の人は、腰まで伸びた黄金色の髪の毛を揺らして微笑む。
「よろしければ、どうぞ。ゲームの招待状です」
「ゲーム?」
しぃちゃんが尋ねると女の人は頷いた。
その顔にはシワ一つもなく、若々しい。
美容に気を遣っているのだろうか、外国製のお人形さんみたいにキレイな人だった。
「貴女方のような若く無名のアイドルの原石たちに声をかけているんです。詳しくは封筒の中に……ぜひご参加してくださいね」
おずおずと封筒を受け取る。
すると女の人は背を向けてライブハウスから去って行ってしまった。
残された私たちは封筒を見つめたまま、足早にステージを下りて更衣室という名の楽屋へと向かう。
そして他に誰もいない、クモの巣がはられた天井の下。
三人で身を寄せ合いながら封筒を開けた。



