まだ少し蒸し暑い9月に入って最初の日曜日。
いつも通りの、人がまばらなライブハウス。
寂れたステージの上で、軽やかなステップに合わせて小さな埃が舞い上がる。
汗をきらめかせながらカバー曲メドレーを、歌って踊った後だった。
――ありがとうございました。
そう言って二人のメンバーたちと共に観客に頭を下げる。
最後まで見てくれていたのはたったの一人。
パチパチと拍手を送るその人は、ブランド物の衣服に身を包み柔らかな笑みを浮かべている。
初めて見るお客さんだ。
ツバの広い真っ黒な帽子を被っていて、こんな無名のライブハウスに来るような人じゃないってすぐに分かった。
「やば……まさしく富裕層じゃん、パトロンになってくれないかなぁ……」
右隣に立つショートカットの似合う女の子、しぃちゃんが呟く。
私はその体を肩で小突いた。
「しぃちゃん、聞こえちゃう……それに失礼だよ」
「でも“こまる”だって、お金持ちのパトロンついたら嬉しいっしょ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるテンちゃんはからかうように私へとウィンクをした。
応援はしてもらいたいけど……パトロンって呼び方は嫌だ。
反論しようとしたら、左隣からため息が聞こえてくる。
珊華ちゃんだ。
ハーフアップに結んだ長いブロンドのサイドヘアを耳にかけながら、ツンとそっぽを向く
「期待するだけ損ではないですか?こんな寂れた場所に来るなんて……ただの金持ちの気まぐれでしょう」
彼女は小声でそう言って整ったその顔に眉を寄せた。
いつも通りの、人がまばらなライブハウス。
寂れたステージの上で、軽やかなステップに合わせて小さな埃が舞い上がる。
汗をきらめかせながらカバー曲メドレーを、歌って踊った後だった。
――ありがとうございました。
そう言って二人のメンバーたちと共に観客に頭を下げる。
最後まで見てくれていたのはたったの一人。
パチパチと拍手を送るその人は、ブランド物の衣服に身を包み柔らかな笑みを浮かべている。
初めて見るお客さんだ。
ツバの広い真っ黒な帽子を被っていて、こんな無名のライブハウスに来るような人じゃないってすぐに分かった。
「やば……まさしく富裕層じゃん、パトロンになってくれないかなぁ……」
右隣に立つショートカットの似合う女の子、しぃちゃんが呟く。
私はその体を肩で小突いた。
「しぃちゃん、聞こえちゃう……それに失礼だよ」
「でも“こまる”だって、お金持ちのパトロンついたら嬉しいっしょ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるテンちゃんはからかうように私へとウィンクをした。
応援はしてもらいたいけど……パトロンって呼び方は嫌だ。
反論しようとしたら、左隣からため息が聞こえてくる。
珊華ちゃんだ。
ハーフアップに結んだ長いブロンドのサイドヘアを耳にかけながら、ツンとそっぽを向く
「期待するだけ損ではないですか?こんな寂れた場所に来るなんて……ただの金持ちの気まぐれでしょう」
彼女は小声でそう言って整ったその顔に眉を寄せた。



