BLUE YELL ―その声が届くまで―


 部屋の中には長机が置かれ、スタッフが数人待っていた。

「改めまして、合格おめでとうございます。」

 三人は並んで椅子へ腰を下ろす。

 まず説明されたのは、今後のスケジュールだった。

 来週から始まるレッスン。

 試合日程。

 イベント出演。

 活動にあたっての注意事項。

 そして契約書類の説明。

 どれも初めて聞くことばかりで、私は一つも聞き漏らさないよう必死にメモを取っていた。

 一時間ほど経ち、説明が終わる。

「それでは、本日の説明は以上になります。」

 スタッフが微笑む。

「本日はありがとうございました。」

 2人と共に私も立ち上がろうとした、その時だった。

「あ、朝比奈さんは少しだけ。」

「え?」

 思わずスタッフを見る。

「もう少しお時間いただいても大丈夫ですか?」

「は、はい。」

 再び椅子へ座る。

 部屋に静けさが戻る。

 数分後、コンコン、と控えめなノックが響いた。

「失礼します。」

 扉を開けて入ってきたのは、美咲先輩だった。

「おめでとう。」

 優しく微笑むその隣には、一人の女性が立っていた。

 公開練習の日、振付を担当していた現役チアリーダー。

「初めまして。」

 穏やかな笑顔で頭を下げる。

「チアキャプテンのRIOです。」

 私は慌てて立ち上がり、深く頭を下げた。

「朝比奈凪です。よろしくお願いします。」

 RIOさんは柔らかく笑う。

「そんなに緊張しなくて大丈夫。」

「今日はね、合格のお祝いと……。」

 そう言って、美咲先輩と顔を見合わせる。

「もう一つ、凪に相談したいことがあるの。」