BLUE YELL ―その声が届くまで―

「続いて、フリーパフォーマンス審査を行います。」

 スタッフの説明が始まる。

「時間は三十秒。」

「ジャンルは問いません。」

「皆さんが一番自分らしく表現できるパフォーマンスをお願いします。」

 会場の空気が少しだけざわつく。

 振り入れとは違い、ここは自分自身を表現する時間。

 一人、また一人と名前が呼ばれていく。

 ジャズダンス。

 ヒップホップ。

 チアダンス。

 それぞれが思い思いのパフォーマンスを披露していく。

 歓声こそないものの、コートには張り詰めた空気が流れていた。

 私は静かに拳を握る。

(大丈夫。)

(私がやってきたことを、信じよう。)

「12番。」

 名前を呼ばれ、私はゆっくりとコート中央へ歩き出した。

 正面には審査員。

 深く息を吸う。

 目を閉じると、不思議なくらい体育館の音が遠ざかっていく。

 音楽が流れ始めた。

 最初の一歩。

 自然と身体が動き出す。

 ターン。

 ジャンプ。

 アームモーション。

 一つひとつを丁寧に繋ぎながら、自分らしく踊る。

 久しぶりとは思えないほど、身体は音楽を覚えていた。

 苦しい練習も。

 何度も流した涙も。

 全部、この身体に刻まれている。

 最後のポーズを決めると、静かに音楽が止んだ。

 私は深く一礼し、小さく息を吐きながらコートを後にした。