BLUE YELL ―その声が届くまで―


 あっという間の20分だった。

「それでは、グループ審査を始めます。」

 スタッフの声が響く。

「エントリーナンバー1番から6番の方、前へお願いします。」

 最初のグループがコート中央へ並ぶ。

 私は壁際から、その様子を見つめた。

 音楽が流れ出す。

 二十分で覚えたとは思えないほど、全員が堂々と踊っている。

(すごい……。)

 ターンが綺麗な人。

 表情が豊かな人。

 身体のラインが美しい人。

 一人ひとりに違った魅力があった。

 審査員たちは真剣な表情でメモを取っている。

「ありがとうございました。」

 音楽が止まり、一組目が深く一礼する。

 緊張した表情でコートを後にする姿を見送りながら、私は小さく息を吐いた。

「続いて、7番から13番の方。」

 ついに呼ばれた。

 胸元に付けたゼッケン。

 12

 その数字をそっと握りしめる。

(大丈夫。)

(今までやってきたことを信じよう。)

 一歩、また一歩。

 コートの中央へ歩いていく。

 横一列に並ぶと、真正面には審査員席。

 その奥には、美咲先輩の姿が見えた。

 目が合う。

 美咲先輩は何も言わず、小さく頷いた。

 私は小さく頷き返す。

「それでは、お願いします。」

 音楽が流れ始めた。

 身体が自然と動き出す。

 カウントを刻みながら、振りをつないでいく。

 身体は覚えていた。

 ターン。

 ジャンプ。

 ステップ。

 一つひとつを丁寧に踊る。

 頭で考えるより先に、身体が反応していた。

 競技チアで積み重ねてきた時間は、決して無駄じゃなかった。

 最後のポーズを決める。

 静かに音楽が止んだ。

「ありがとうございました。」

 一斉に頭を下げる。

 私は息を整えながら、ゆっくり顔を上げた。

 審査員の一人が、何かをメモしている。

 その表情からは、何も読み取れなかった。