「おかえり」
──ガチャ、と玄関扉を開けるなり。
アオイの声が飛んできた。
「……何してんだ」
「見ればわかるだろ。荷ほどき」
段ボールだらけの部屋。
引っ越してまだ二日目。
当然と言えば当然。
だが。
「……怜。コイツ黙らせろ」
「逆だ。紫藤、コイツ口を割らせろ」
なんでか、『荷ほどき』と言ったアオイは、多夜の胸倉を掴んでいる。
何をほどこうとしてんだ、お前。
「私のカメラがない!!絶対コイツが捨てた!!」
「知らん」
「絶対お前だろ!荷詰め手伝えって何度も何度もせっついて!!やっと最後手伝ったと思ったら、余計なことしかしてなかった!ほとんど捨ててた!」
「俺に指図するな。文句も言うな」
俺は溜息を吐いた。
多夜は言葉足らずだし、アオイは口が悪い。


