「……心配、した」
「ごめんなさい。連絡するの忘れてて……」
一体何が起きたんだって、辺りを見渡す。
バイクに跨った千景。
その行く手を塞ぐように、大きな車と何台ものバイクが並んでいる。
「まーじで。何やってんすか」
その先頭に立っていたのは、呆れ顔の野間。
傍らでは、デックが首根っこを掴まれ、チーン、と肩を落としていた。
「チカさぁん。助けてくださぁい……ゴリ詰めでしたぁぁ」
「チカァ!!!」
頭上から、ユキの怒鳴り声が落ちてきた。
「ふん」と、千景が鼻を鳴らす。
私を抱いたまま、ユキが千景へ詰め寄った。
「何、してる」
「何って。ママと遊んでただけだけど?」
「攫ってか?」
「僕に感謝しろよ。いい訓練になったろ?」
「コロス……」
まずい。
ユキがとんでもなく怒ってる。
「一応、言っておくけど。次、ママを悲しませたら」
「………」
「今度こそ、容赦なく攫ってやる」
ブチン、とユキの頭の何かが切れた音が鳴った気がした。


