「千景……ありがとう」
「元気出た?」
「もう……ずっと元気だよ」
「そっか」
「私。この街、大好き」
シトウ。
糸冬町。
終わりの街。
だけど、ここは私にとって。
どんな場所よりも、希望に満ちた街──……
「あ、やべ」
「……え?」
「ママ、掴まって!!」
「……ええええ!?」
キュキュッとブレーキをかけた千景。
衝撃に耐えるように、身体を固くし、ぐっと目を閉じた。
「かぁこ!!」
そろ、っと目を開ければ。
目の前には愛しい人。
「ユキさん……」
両脇を抱えられ、バイクから下ろされて。
道の往来にも関わらず、そのまま抱っこでぎゅうっと抱きしめられる。


