「みーんな、ママが大切なんだって!」
こんなに、たくさんの『みんな』。
「………」
見渡せば。
知っている顔ばかりだった。
みんな、私を知っている。
私も、みんなを知っている。
──『余所者か』
あの日、独りぼっちだった私。
誰も、私の事を知らなかった。
私も、誰の事も知らなかった。
終わりの街に堕ちた私は。
本当に、何も持っていなかった。
──そこから、始まった。
街の歩き方は、とても難しかった。
足を止めず。
目を合わさず。
耳を塞いで。
口を結ぶ。
誰かが傷ついていても、誰も気にしない。
傷ついていても、誰にも見つからない。
きっと。
あの時は、それが心地よかった。
だけど。
今は、もう違う。
どこに、どんな風に上手く隠れたとしても。
──誰かが、私を見つけてくれる。


