「千景、スマホ返して!」
「後でね」
「なんで!」
「そんなことより」
「………」
「後ろ。見てみて!」
何を呑気なことを。
カナコはプン、と怒って眉間に皺を寄せるだけ。
「ほらほら!早く!」
千景の無邪気な声に、しぶしぶ後ろを振り返った。
すると。
「………」
薄闇の中。
カナコの瞳に、無数の光が映り込んだ。
彼女の目が映すのは。
まるで、夜の光の川──……
四車線道路を埋め尽くす、車やバイク。
黄色や白のライトが無数に浮かび、こちらに向かって一斉に流れてくる。
「………」
……なにこれ。
綺麗……。


