「でもさ。せっかく来たんだし、ちょっと遊んで帰ろうよ」
カナコは「うーん……」と少し困った顔をしながらも。
デンモクを触りながら「一緒に歌える曲探そ」と詰め寄られ、結局断り切れなかった。
まぁ、少しだけならいいか。
そんな、軽い気持ちで。
「……ねぇ千景、そろそろ行かない?」
──結局、二時間も遊んでしまった。
「私、買い物行かないといけないんだけど……」
千景は「うーん」とスマホを触った後、ポケットにしまった。
「そろそろだな」
「何がそろそろ?」
「行こっか!ママ!」
「え!急!」
一体、なんなんだ。
千景に振り回されるカナコ。
カラオケを出て、バイクに跨り。
「あ、ヘルメットこっちにして」
「いいけど……」
手渡されたのは、顔の出るハーフヘルメット。
行きはフルフェイスのヘルメットだったのに。


