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「さぁて。そろそろメイクしなきゃ」
「酒、ちょっと仕入れ過ぎたか」
露天街の外れ。
ニューハーフバー、SHOW-Me。
リンコとトウジは、客を迎えるための準備をしていた。
「今日も予約でいっぱいだな」
「当たり前でしょー。誰の店だと思ってるの」
リンコは重たそうなメイクボックスをテーブルにドン、と置いた。
トウジは奥で酒瓶の整理をしている。
「そうだ。レンもシトウに引っ越してくるってよ」
龍翔鳳鱗 二代目総長のレン。
彼はリンコとトウジが現役だったころ、一番に可愛がっていた後輩だ。
リンコは嬉しそうに、カラカラと声を上げて笑う。
「アイツの顔、メイク映えしそうよね」
「……やめてやれ」
「食いぶちは?」
「引っ越してから探すってよ。ユキさんに相談しようと思ってる」
リンコは保湿スプレーを顔に振りかけながら「ふーん」と何かを考えている様子。
「……うん、決めた」
「なんだ?」
「SHOW-Me、2店舗目出す」
「マジか」
「シトウのド真ん中。いっぺん攻めてみたいのよね」
「レンに手伝わせるってことか」
「そう」
「アイツ、喜ぶな」
「楽しくなるわねぇ」
さて、メイク。
そこで、テーブルの上のスマホに届いた通知が目に入った。
手に取り、内容を確認する。
「……トウジ」
「なんだ」
トウジの顔つきが変わった。
「今日のアタシの予約、全キャンセル。それで、龍翔鳳鱗を集められるだけ集めて。すぐに」
「車は?」
「要る」
リンコは素顔のままで、店を飛び出す。
トウジはスマホに耳を当てながら、車のキーを取り、その背中を追いかけた。


