余所者-よそもの-【 3 】



────……
──……


「おどれらァァァアア……!!」

「ちょっ、待……サンコン!モノ壊すなって!!」


シトウのメインストリート。


サンコンは、大きな拳をブンブンと振り下ろしていた。

バンはその近くでおろおろと立ち尽くしている。


「店壊したらユキさんに怒られる!!」


道沿いに並ぶ二枚の窓ガラスは、すでに粉々に割れていた。


砕けた窓ガラスの向こう。

店の奥では、店主が肩を落としている。


「祭じゃア!!祭じゃア……!」


すっかり血が沸き立っているサンコン。

周囲では、シトウとZ地区の人間が入り乱れ、数十人規模の喧嘩になっていた。


「喧嘩……止めろよ……」


そもそも。

サンコンとバンは、シトウとZ地区が起こした小競り合いの仲裁に入ったはずだった。


それなのに。

「どぉっりゃあああああッ!!」


もはや、シトウもZ地区も関係ない。

仲裁者が一番暴れ狂っている。

バンに止める術もない。


ああ。
またユキに怒られる。

俺、悪くないのに。


一先ず状況だけ報告いれとくか。

そうスマホを開くと、バンは目を見開き、「……やべぇ」と呟いた。


「サンコン!止まれ!!」

「じゃかましぃ……ッ!!」

「マジ!やべぇんだって!!」


一度スイッチの入ったサンコンは、そうそう止まらない。

だが。

「カナコが!!!」


バンの切羽詰まった声とその名前に、ピタリと静止した。

サンコンの手から、胸倉を掴まれていた男がドサリ、と地面に崩れ落ちる。


「カナコさんが……なんです?」


戻った口調。

表情も、真面目なものに変わっている。


バンはその顔にスマホを突きつけた。

「………」

画面を見たサンコンが、カッと目を見開く。


「行きますよ」


サンコンとバンは、集まった野次馬を掻き分けながら喧嘩場を後にした。