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「おどれらァァァアア……!!」
「ちょっ、待……サンコン!モノ壊すなって!!」
シトウのメインストリート。
サンコンは、大きな拳をブンブンと振り下ろしていた。
バンはその近くでおろおろと立ち尽くしている。
「店壊したらユキさんに怒られる!!」
道沿いに並ぶ二枚の窓ガラスは、すでに粉々に割れていた。
砕けた窓ガラスの向こう。
店の奥では、店主が肩を落としている。
「祭じゃア!!祭じゃア……!」
すっかり血が沸き立っているサンコン。
周囲では、シトウとZ地区の人間が入り乱れ、数十人規模の喧嘩になっていた。
「喧嘩……止めろよ……」
そもそも。
サンコンとバンは、シトウとZ地区が起こした小競り合いの仲裁に入ったはずだった。
それなのに。
「どぉっりゃあああああッ!!」
もはや、シトウもZ地区も関係ない。
仲裁者が一番暴れ狂っている。
バンに止める術もない。
ああ。
またユキに怒られる。
俺、悪くないのに。
一先ず状況だけ報告いれとくか。
そうスマホを開くと、バンは目を見開き、「……やべぇ」と呟いた。
「サンコン!止まれ!!」
「じゃかましぃ……ッ!!」
「マジ!やべぇんだって!!」
一度スイッチの入ったサンコンは、そうそう止まらない。
だが。
「カナコが!!!」
バンの切羽詰まった声とその名前に、ピタリと静止した。
サンコンの手から、胸倉を掴まれていた男がドサリ、と地面に崩れ落ちる。
「カナコさんが……なんです?」
戻った口調。
表情も、真面目なものに変わっている。
バンはその顔にスマホを突きつけた。
「………」
画面を見たサンコンが、カッと目を見開く。
「行きますよ」
サンコンとバンは、集まった野次馬を掻き分けながら喧嘩場を後にした。


