余所者-よそもの-【 3 】



「いいよ、待たせておいたら」

「ダメです!」

「もうちょっとだけ」

「もうおしまいです!」


バタバタと足を揺らして、下ろせと訴えるカナコ。

ユキはとても残念そうな顔で、カナコを床に下ろした。


「今日早く帰るから」

「……ホントですか?」

「だから、さっさとリンコ飲ませて」

「………」

「早く家に帰ろう」


続きがしたい。

そう訴えるユキに、カナコは両手で熱い頬を覆って「はい……」と返事をした。


ほどなくして家を出たユキ。

カナコは閉じた扉の前でしばらく、ぼうっと呆けたあと。

気が付いたように動きだす。


「……いけない、私も用意しなくちゃ」


メイクをしようと、鏡の前に立つ。

そこに映った自分の顔に、なぜだか釘付けになった。


「……『可愛い』」


あの夜から、何度も。

耳元で囁かれた、ユキの言葉。


不思議と、自分の顔が前よりも可愛く見えた。


「変なの」

そう一人笑って、支度を始めたのだった。