「………」
ユキは彼女の突然の行動に、ただ目を丸めた。
カナコは恥ずかしそうに目を逸らす。
「……私も、ユキさんに触りたかったから」
「……ダメだ。……可愛い」
「え?」
ユキはもうたまらない様子で、ガバッと彼女の身体を抱き込んだ。
お尻を支えて、身体をぐん、と持ち上げる。
そのまま壁際まで運ぶと、トン、と背中を壁につけた。
「待っ……ユキさ──……」
言葉は、下から突き上げるように向かってきた彼の唇に飲み込まれる。
「……っ」
カナコは両手でユキの肩をぎゅう、と掴んで、一生懸命キスに応えた。
けれど、どうしても。
……息継ぎが上手くできない。
「息……して」
唇が離れた隙に、「はあっ」と息を吸い込めば。
「……っ」
開いた口を、かぷり、と食らいつかれる。
「んーー……!」
とんとん、とユキの肩を叩く。
ようやく唇が離れた。
「かぁこ、下手くそ」
ユキの口端が、意地悪そうに上がっている。
カナコの赤らんだ頬が、ぷう、と膨れた。
「やっぱり、いじわる……」
「お前が可愛いから」
抱き上げられたまま、カナコはユキの顔を見下ろす。
細められた目が、とても色っぽい。
ほら、もう一度。
そう求める唇に、カナコがゆっくりと顔を近づけたときだった。
──ブー、ブー、と鳴りだしたバイブ音。
着信の知らせ。
「……あ。野間くん」
すっかり忘れていた。


