余所者-よそもの-【 3 】



ユキはとても憂鬱げに「はあ……」と溜息を吐いた。


「こうやって、ずっとくっついていられたらいいのに」

「またすぐに会えるじゃないですか」

「さっきリンコが今日の仕事終わりAnBarで飲むぞって、集合かけてた」

「あ、そうなんですか?」


そうなると、飲み会に付き合うことになるので。

二人がマンションに帰るのは、いつもよりも遅くなる。


「……お前を独り占めしたいのに」


ユキはそう呟くと、お腹に回す腕にぎゅうっと力を込める。

首筋には、キスを落とした。


「………」

カナコの顔が、キュウウと赤くなる。


「の、野間くんが下で待ってますよ……」

「大丈夫。アイツの口癖は『僕は野暮じゃないんで』だ」


カナコは少し焦る。

このままだと、どんどん離れ辛くなる。


「待たせちゃ悪いですよ」

「わかってる」


ほどなくしてユキはカナコから離れ、「じゃあ、行ってくる」と背を向けて歩きだした。


「………」

カナコはその寂しげな背中を少しの間、見送っていた。


ふと、その目が大きくなる。

洗剤のついた手を急いで洗い流し、慌ててその背中を追った。


「ユキさん!」

「ん?」


振り返ったユキ。

カナコは飛び込むように、抱きついた。


「行ってらっしゃい」


そう言って、パッと顔を上げて。

グッと背伸びをして、ユキの頬にキスをした。