「………」
腕の中のユキを見下ろす。
胸の音を聞くように、頬をぴったりとくっつけた顔。
まつ毛の長さが、よく見える。
ユキは一度ちらりと私の顔を見上げると。
少し身じろぎをして、私の腕に添わせるように、腕を回した。
「……はじめのころ」
「………」
「俺、お前のこと。痛みを感じない人間なんじゃないかと思ってた」
ぽつり、とユキが零した話。
そういえば。
ユキと初めて出会ったときから、私は傷だらけだった。
「痛そうな怪我してるのに、平気な顔をしてるし」
ユキは唇の前にある胸の傷痕に、そっと指先で触れながら話す。
「誰かが傷つくくらいなら、自分が傷つけばいい。そんな顔をするから」
「………」
「多分。俺がお前から目が離せなかったのは、そういうところだったんだと思う」
「………」
「お前は、人には優しいくせに。自分には、全然優しくしないから」
指先でくすぐられていた、胸の傷痕。
ユキはそこに、吸い付くようなキスをした。
ちくん、と肌を刺すような刺激。
「……っ」
吐息が零れる。
腰が仰け反って、ユキを抱いていた腕が緩む。
「だから」
私の顔の横に、突き立てられた腕。
右手は、私の頬に優しく添えられる。
熱い視線が交わって、溶けていく。
「──その分。俺が、全部愛してやる」
「………」
「お前は──……綺麗だ」
「………」


