「………」
この傷も、とても痛かった。
眉間に力がこもる。
下唇を、噛む。
あのときの私は……泣いていた。
煙草に焼かれて、熱くて。
痛くて痛くて、仕方がなくて。
涙を流すことしか、できなかった。
だけど彼が『泣くな。俺が悪いみたいだろ』、そう怒ったから。
ぐっと眉間に力を込めて。
唇を噛み締めて。
──涙をこらえた。
あの日の私。
「………」
ユキの右手が、私の頬に添えられる。
目尻を親指で撫でたあと。
すっと下りた指は、私の下唇をなぞった。
噛み締められていた唇は、触れたユキの指に、ぷっくりと顔を出した。
ユキは一度ゆっくりと瞬きをすると。
やっぱり。
胸元の傷痕へと視線を落とし。
そこへ、キスをした。


