余所者-よそもの-【 3 】



「………」

思わず、ぐっと奥歯を噛み締めた。


思い出した。

この傷が身体についたときの、記憶──……


『だまれ。傷ついたのは俺だ』

彼の怒った顔と。


『お前が痛がるな』

彼の吐いた言葉。


押し付けられる、煙草の火。


奥歯を噛み締め。

言葉も、悲鳴も、全部飲み込んで。


ただ、──我慢をする。

あの日の、私。


いつの間にか。

掴むユキの腕に爪を立てていた。


ユキの左手が、私の右手を迎えに来る。

肘から撫でられて。

少しずつ、力を溶かして。


私の手を取ると、指を絡めてぎゅっと握った。

絡んだ指から、ユキの体温が伝わってくる。


「………」

その手を見つめている間に。


ユキの顔が、胸元に埋まった。


ユキは、鎖骨の下の傷痕へと。

愛おしむような、熱いキスをした。