「………」
思わず、ぐっと奥歯を噛み締めた。
思い出した。
この傷が身体についたときの、記憶──……
『だまれ。傷ついたのは俺だ』
彼の怒った顔と。
『お前が痛がるな』
彼の吐いた言葉。
押し付けられる、煙草の火。
奥歯を噛み締め。
言葉も、悲鳴も、全部飲み込んで。
ただ、──我慢をする。
あの日の、私。
いつの間にか。
掴むユキの腕に爪を立てていた。
ユキの左手が、私の右手を迎えに来る。
肘から撫でられて。
少しずつ、力を溶かして。
私の手を取ると、指を絡めてぎゅっと握った。
絡んだ指から、ユキの体温が伝わってくる。
「………」
その手を見つめている間に。
ユキの顔が、胸元に埋まった。
ユキは、鎖骨の下の傷痕へと。
愛おしむような、熱いキスをした。


