余所者-よそもの-【 3 】



目を閉じて。

ユキの匂いを、ゆっくりと吸い込む。


じわじわ溶ける、体温。

ユキの腕の中で、何度か呼吸を繰り返した。

吸って。

吐いて。


そのたびに、胸の奥に張りついていた緊張が、少しずつほどけていった。


「ユキさん……」

背中に手を回す。


触れたユキの肩甲骨が、ピクリと強張る。

次の瞬間には、さっきよりも強く抱きしめ返された。


視界が、ゆっくりと傾いていく。

ユキの腕に包まれたまま。



──背中が、柔らかなベッドに沈んだ。



見つめ合う、その顔が少し遠くに離れる。

ユキは身体を起こすと、私の右手を取った。


そこは。

さっきユキが、──『お前の優しさを思い出す』と言った場所。

手のひらの、傷。


ユキはそこに顔を埋めるように、柔らかな唇を押し付ける。

ちゅ、と小さな音がした。


垂れた前髪の隙間から見えるユキの瞳が、優しく細められる。


その顔が、ゆっくりと私の顔に下りてきて。

今度は、額に優しい口づけをした。


さっき、私が──『痛かった』と言った場所。

額の真ん中の、傷へ。