そうだ。
私、悲しかったんだ。
「どうして、悲しい」
「私、その日……誕生日だったんです」
期待していた。
その前の誕生日は、指輪をプレゼントしてくれた。
今年の誕生日は、どんな風にお祝いをしてくれるかな。
そんな風に。
だから、悲しかった。
誕生日くらい、優しくしてくれるんじゃないかって、期待をしたから。
だから、悔しかった。
期待をして、勝手に悲しくなった、自分が。
「この、傷がついたとき」
ユキはそう言いながら。
私の額の傷を、親指でそっと撫でた。
「痛かった?」
「たしか……痛かった、です」
もちろん……。


