額に触れた指先。
前髪をそっと掻き分けていく。
「ここは、どうして傷ついた?」
額の真ん中にある、傷痕。
それはユキと出会った日についた傷。
「彼氏と温泉旅行の帰りに、車の中でスマホホルダーに頭をぶつけられて」
「なんで、そんなことを」
「その日は、ずっとイライラしてたから。ガソリンスタンドを探していて、私、上手くナビができなくて」
「お前は、腹が立たなかったの?」
どうだったっけ。
あの日の私は。
「……なんとも思ってなかったかも。旅行なんて来なきゃよかったって思ってたくらいです」
「雪の中に捨てられても?」
「………」
雪……。
ああ、違う。
そうだ。
思い出した。
「それは、少し悲しかった……」


