「それに……ユキさんが」
「うん」
「いつもこうやって……この手を握ってくれるから」
傷がついたときも。
傷が、治ってからも。
ユキはずっと、この右手を大切に触れてくれる。
「ここは。お前が俺を守るために、ついた傷」
ユキは私の手をくるりと返し、手の甲側から指を絡める。
そのまま手のひらを口元へ引き寄せて。
一直線に走る傷痕に、ちゅ、と柔らかい唇を触れさせた。
見慣れた。
いつもの、仕草。
「だからユキさん、いつもそこにキスするの?」
「ここに触れると、お前の優しさを思い出すから。俺も、優しくなれる気がする」
思えば。
この手にキスをするときは、ベッドで眠るときだった。
いつも、何かの熱を覚ますように、ここで息を吐く。
ユキはやっぱり大切そうに、私の右手を支えながら。
ゆっくりと、ベッドの上へ戻した。
ユキの両手が。
今度は、私の顔へと近づいてくる。
「………」
目の前まで来た手に、反射的に目を閉じた。


