野間は困っていた。
ユキはここ数日、とても機嫌が悪い。
まともに眠れていないのか、ぼうっとしている時間も多い。
今日なんて、とうとう『俺、もしかしたらシトウ見るのやめるかもしれない』なんてことを、そこそこの真顔で言ってきた。
「ユキのそれは、カナコちゃん症候群だな」
「ちゃんと病名あるんすね」
「ユキの頭の処理が止まってる。またなんか、カナコちゃんのことで自分がわからなくなってるんだろ」
電子タバコにスティックをセットした潤。
一口吸って、煙を吐く。
その独特なニオイが、野間の鼻を掠めた。
……『ニオイ』か。
「最近、ユキさん爆モテしてるじゃないですか」
「今に始まった話じゃねーけど、街の噂がヒドイな」
「あれをまともに受け取れば、カナコさんにとってあまり気分のいい話じゃない」
「あんだけカナコちゃんにベタぼれ全開やってんだから、浮気までは疑わねーだろ」
「いや」
「………」


