──シトウにある、野間の自宅。
ユキは慣れた様子で玄関に上がり込み、まっすぐに風呂場へ向かった。
ユキがシャワーを浴びている間に。
野間は部屋の隅に置いてあった段ボールを開けた。
これは、ついこの間。
ユキから何の説明もなく野間宅へ送りつけられたもの。
中身はユキの着替え一式。
野間は新品の服と下着をワンセットにして、脱衣所へ持って行った。
丁度シャワーを終え、浴室のドアを開けたユキに、バスタオルを手渡す。
「あの」
「なに?」
「前から思ってたんすけど」
「うん」
「これから帰るんですよね?自分の家に」
「そうだよ」
「家で風呂に入ればいいんじゃ……」
不可解なユキの行動。
なぜ、わざわざ人の家で風呂に入って帰るんだ。
わしゃわしゃとタオルで髪を拭きながら。
なぜだか、ユキは幸せそうな顔で笑っている。
「かぁこ、俺から”香水の匂い”がすると、”嫌な気持ち”になるらしくて」
「………」
「ニオイ、家に持ち帰るわけにはいかないだろ」
そう言って、ユキはニオイの沁みついた洋服をゴミ箱に放った。


