女は目に涙を浮かべた。
「シトウ出て行けって、本気……?」
「はい。あの人脅しはやらねぇんで」
「嫌よ。どうすればいい……?」
「アンタがこれからもこの街で生きていきたいのなら。こちらが改めて用意する契約書に、一言の文句も言わずハンコ押すこと。その約束ができるなら、僕からあの人に話を通してやってもいい」
「……わかった」
よし。
ここまで折れたなら、一旦は様子見。
この女が仕組みの中に収まるなら、それでいい。
駄目なら、その時こそ切り捨てればいい。
ユキさんも文句はないだろ。
「ねぇ」
「………」
「あの男、どうやったらオチると思う?」
「そうだなぁ、金輪際あの人に近づかないことかな」
「なにそれ」
「──これ以上、オトされたくなかったら」


