「東は一から創り直すことにする」
「何言ってるの?店も利益も要らないの?それだけじゃないわ。私がどれだけ街と深く関わってると思ってんのよ。簡単に創り直すことなんかできない」
「店も利益も人脈も要る」
「だったらっ」
「でも、お前は要らない」
ユキはそう吐き捨てると、個室の出口へと向かって歩きだす。
「お前を街に残す方が、後々面倒だ」
「………」
「今すぐ、シトウから出ていけ」
あっさりと女を切り捨てたユキに、野間は言葉を失う。
「………」
この女を残せば、東は今まで通り回る。
ただし、この先もずっと。
何かあるたび、この面倒な女を相手にし続けなければならない。
一方で。
女を切れば、一時的に膨大な利益を失う。
さらに。
東一帯を一から組み直す膨大な手間もかかる。
それでもユキは──
長い目で見れば、後者の方がよほど安くつくと判断した。
野間は誰にも見られないように顔を伏せ、込み上げてくる笑いをかみ殺す。
……なんて人だ。


