女はユキの手を取って、自分の胸へと近づけた。
「あなたと契約はしたい。本当よ」
「………」
「だけど時間がほしい。こんな風に私と──」
掴まれた手を振りほどいたユキは、女を膝に乗せた状態のまま立ち上がった。
「きゃぁ……っ!」
支えを失った女が──ドン!と床に尻もちをつく。
ユキはそれを、冷徹な瞳で見下ろしていた。
「不快だ」
一言そう言って、テーブル上の契約書を手に取り、ビリビリと破く。
「あなた……私の価値を知らないの?」
「知ってる」
「私を切ったら、東の夜は回らないわよ」
「まぁ、そうだろな。それも一時のことだ」
「……は?」
粉々になった紙切れを、女の頭上から紙吹雪のように散らした。


