「どうぞ」
女が酒をつくり終えるなり、ユキは静かに口を開く。
「契約書。内容は見たか?」
「見ましたよ。でも、なんだか納得がいかなくって」
「どこが気に食わない」
「わからない。でも、もう少し話し合いを重ねないと」
「前回、お前がそう言ったから、コッチから案を出してる」
「………」
「それに目を通したのかって俺は聞いてる」
ユキは女へ目線を合わせることすらしない。
「見ましたよ。でも、なんだか納得がいかなくて」
「………」
恐ろしいほど、堂々巡りの会話。
ニコニコと笑顔を浮かべる女に、野間はぞっとした。


