余所者-よそもの-【 3 】



やがて二人は、シトウ東部の入口へと立った。

派手な電子看板があちこちで光る、シトウきっての風俗街。


「はあ……」

野間は大きなため息を吐く。


「行きますか」


今日はここ、シトウ東に拠点を置く女。

通称──『東の女帝』を口説きに来た。


彼女との話し合いは、今日で5回目にもなる。


「あの女、絶対ユキさんに惚れてるっすよね」

「そうなの?」

「それか、嬢のプライド?」

「………」


「何せ、契約どうこうより、ユキさんをオトすことしか考えてねぇっすよ」

「くだらない」


過去4回。

いずれも契約の話なんかロクにできなかった。


女の興味は、ユキ個人。


「今日こそ、まともな話し合いにしたいっすね」


面倒な相手。

放っておけるものなら放っておきたいくらいに。


ただ『東の女帝』は、シトウ東一帯の夜を仕切る女だ。


この女一人と話をつければ、傘下のキャバクラ、ラウンジ、風俗店。

それだけじゃない。

そこで働く女たちが利用する美容室、衣装屋、送迎、飲食店まで。

女の横の繋がりを伝って、その影響は一気に広がる。


東側の夜の店から得られる信用。

そこから周辺店舗へ波及する影響。


もろもろ込みで考えれば、多少苦労してでもこの女一人を説得することが、シトウ東をまとめる一番の近道だった。