────……
──……
ネオンの灯りの眩しい、夜の街のゴールデンタイム。
野間とユキの二人は、シトウのメインストリートを歩いていた。
「ユキさん」
スマホに目を落としていた野間。
画面の光に照らされた顔を上げる。
「なに?」
少し前方を歩いていたユキが、ちらりと後ろを振り返った。
「『私は瑞生の女』」
「は?」
「そう名乗る女が絶賛増殖中なんですが」
野間のスマホに表示されているのは、街の連絡網。
相変わらず要領を得ない垂れ流しのチャットの中から、かねてから気になっていた事案をピックアップしてユキに伝えた。
一躍シトウ一番の権力者に昇りつめたユキ。
その男と深い仲だと嘯(ウソブ)き、その威光を利用しようとする。
そんな、あさましい女が街に湧いている。
「だから何?」
興味のなさそうなユキ。
野間はこの瞬間に、この事案は自分で処理するものだと理解した。
ユキは頭の回転が恐ろしく早い。
一言、二言。
事実を耳に入れれば、自分が出るべきものか、そうでないものかをすぐに振り分ける。
ユキが拾わなかったものは、野間が拾う。
最近では、そんな役割分担が自然とできつつあった。


