余所者-よそもの-【 3 】



俯いたまま、シャワーをフックに掛けようとした。

思ったところに嵌らず、──ガタン、と落ちたシャワーヘッド。


水しぶきが、辺りに飛び散った。


くもっていた浴室の鏡。

水に濡れて、私の身体を映しだす。


「あ……」


鏡に映った自分の身体は、とても醜かった。


身体に刻み込まれた、たくさんの傷痕。

根性焼きに、切り傷。


出会ったばかりのころ。

ユキには、この身体を一度見られてる。


あの時、こう言ってたっけ。

──『古い痣から新しい痣。根性焼きに裂傷。女にしては、ずいぶんと気合の入った身体だな』


ユキが、どうして私にキス以上のことを求めないのか。

わかったかもしれない。


「……そりゃ、そうか」

どうせ抱くなら、綺麗な女がいい。



「こんなの、触りたくないよね」


ぺた、と鏡に触れた。

鏡越しに、自分の傷に触れた。


「………」


触れなければ、鏡はくもったまま。

私の身体を映さない。


私は、鏡に手を伸ばした。

傷痕のある場所を、きゅ、きゅ、と音を立てて擦った。



「消えないかな」


──消えてほしい。


「綺麗に、なりたい」


──ユキに、触れてほしい。


「消えて……消えてよ……」


なのに。

鏡に触れれば触れるほど。

醜い身体が、よく見える。


「………」

鏡を擦る指を止めた。

もう、見たくなかった。


「……いいなぁ。みんな」


羨ましい。

ユキに触れてもらえる人達が。


綺麗な身体を持っている人たちが。