まずは、助けてくれたこの人にお礼を言わなきゃ。
喧嘩屋と呼ばれた、ムキムキの男の人に向き合う。
すると、その隣。
男のイカつい肩にポン、と手を乗せて笑う……野間がいた。
「野間くん?」
いつの間に。
野間は親し気に男へ話しかける。
「ナイスっす」
「……いや」
「なんで殴らなかったっすか?一瞬殴りかけたっすよね?」
「どうせお前ら張ってると思ったし。それに自分の女のことは自分で片付けたいだろうが」
野間は「はは!」と嬉しそうに笑う。
「今度瑞生さん呼んでみんなで飲みましょ」
「また連絡寄こせ」
「うっす」
喧嘩屋。
そう呼ばれた男は街へと消えていった。
「喧嘩屋……さん?」
その背中を見送りながら、首を傾げる。
「元シトウの幹部っす。中でも一番紫藤さんとの付き合いが長かった」
「そうなんだ……」
「いろいろ感情は複雑っぽいですが。紫藤さんから御触れが出てから、ちょっとずつユキさんを認めてきてる感じっすね」
「そっか」
「近々、AnBarに出入りするようになると思うんで、ツラ覚えておいてやってください」
仲間が、また増える。
「うん」
返事をしてから、私はキョロキョロとあたりを見渡した。


