「もう、いい加減に──……」
腕を振りながら、背後を振り返る。
けれど、そのときにはもう。
背中を掴んでいた粗い手の感触は、消えていた。
「てめぇ。この女になんか用か?」
……誰、だろ。
私と男の間に割って入っているのは、やたらと身体の逞しい男。
肩から盛り上がった筋肉は、厚手のジャケットを着ていても隠せていない。
「なんだ喧嘩屋。お前も反瑞生だろ、止めるなよ」
「………」
「お前、知ってるか?」
「何をだ」
「この女、瑞生の──……ぐぇっ」
突然、横から延びてきた腕。
男の胸倉を掴み、引き寄せたのは、
「俺に、何か用か?」
冷たい表情をした、ユキだった。
「……いや」
「俺に話があるなら直接来いよ」
ユキはそんなことを言いながら、男をどこかに連れて行く。
どこに連れて行くんだろう?


