夜の街のメインタイムより少し前。
まだ薄く夕日の残る路地。
私は買い出しに出ていた。
今日の夜ごはんは、千景のリクエストでカレーライス。
千景はあまり野菜が得意じゃないけれど、カレーなら何を入れても食べる。
具だくさんのカレーにしよう。
恵西(エニシ)で、野菜をはじめとした食材を買い込んだ。
「少し買いすぎたかな……」
手に食い込む袋を持ち直した時だった。
──ドン、と肩がぶつかった。
「……すみません!」
慌てて謝ると、目の前にはガラの悪い男の人。
「………」
睨みつけてくるあたり。
あまりいい予感がしない。
「お前ってさ」
思わず身構えた。
「AnBarってとこにいる女だよな?」
「………」
何も答えない私。
男は奥歯を噛み締め、ぴくぴくとこめかみを動かす。


